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ステンレスと配管腐食等についてSTAINLESS STEEL AND CORROSION

ステンレスは絶対錆びなくて、特殊な金属だ、腐食に対する考慮は全くする必要が無い。と言い切っている人が居ました。自分のおさらいの意味でこのページでは基本的な腐食についてまとめました。
腐食は大変奥が深く 素人には容易に理解出来ない分野ですが、設備屋として最低限認識しておかねばならない知識でも有ります。実際、腐食は各種設備関係の資格試験の出題範囲になっています。


ステンレスと配管の腐食等について

 残念なお知らせ&ステンレス鋼の金属組織的分類

ここで、ステンレスが万能な素材と認識されている方に、非常に残念なお知らせです。
ステンレスは合金であり、主成分は鉄です。金や白金と同じような素材だと思っていましたか??
でも、(後述しますが)イオン化傾向でいうと銅と同じ位の貴なる金属です。 錆びにくくなっている反面、単体だけの材料では起こらなかった合金ゆえの現象に見舞われることもあります。 材料の組合せや熱処理等によりさまざまなステンレスが有り、メーカーにより独自のステンレスを作っている場合も有ります。
下記は代表的な分類と規格についてです。

<ステンレス鋼の分類>
マルテンサイト系 C(炭素)の含有量が多いので他のステンレスよりも耐食性に劣る。
刃物、機械部品などに使用される。硬い。代表的な規格:SUS440C
フェライト系 貯水(湯)タンク、厨房機器、器物、家電などに使用される。磁石に付く。高価なNi(ニッケル),Mo(モリブデン)を含まないか、わずかに含む経済的なステンレスである。
代表的な規格:SUS430J1L,SUS444
オーステナイト系 最も身近な一般的なステンレスである。加工性がよい。水道用にも化学プラントにも使用される。磁石に付かないが加工により一部マルテンサイト変態し、磁石につくようになることがある。
鉄にCr(クロム)とNi(ニッケル)を加えているSUS304、溶接時の粒界腐食対策でCを減らしてSUS304L、耐食性を向上させるためMo(モリブデン)も加えているSUS316、粒界腐食対策でC(炭素)を減らしてSUS316Lなどがある。
オーステナイト・フェライト系(2相) 高級ステンレスである。強度、耐食性共に大変優れている。厳しい環境下での化学プラント等の用途に適している。 磁石に付かない。
代表的な規格:SUS329J4L
析出硬化系 Cu(銅)等を添加し、人工的な時効処理により添加物の金属間化合物を析出させて硬化する性質を利用し、硬度を高めたもの。オーステナイト系よりも耐食性に劣り、マルテンサイト系よりも耐食性に優れる。ばね、シャフトなどに用いる。
代表的な規格:SUS630

 錆から守る不動態  

ステンレスは主成分が鉄なのに錆びないのはどうして?
合金中のクロムが鉄よりも率先して酸素とくっつくので、メッキなしでもクロムが酸化して表面に不動態といわれる酸化皮膜を形成して、鉄が酸化するのを防いでいます。不動態は大変薄く目に見えず(数ナノミクロン)、再生しますが再生する毎にクロムの割合が減っていき、耐食性が次第に落ちていきます。

 ステンレスが錆びるとき

不動態は大変安定しているのですが、ステンレスの不動態が壊れやすい環境にあうとピンホール状の孔食やすき間腐食、亀裂となる応力腐食割れ(SCC)、オーステナイト系では溶接部粒界腐食が起きます。
不動態が壊される時とはどんな時でしょうか?
ステンレスだけではなく、金属が錆びるという現象には、共通の事項が有ります。

  • 塩化物イオン  例えば、食塩水や海水など
  • 酸化剤     例えば、次亜塩素酸など
  • もらい錆、ゴミ、スケールの付着、水温が高い場合等々

この他、曲げ応力腐食や他には土中や管内水中の微生物により腐食が起こったり、他にもまだまだいろいろな原因で腐食が起こることが多々有ります。

ステンタンク内部
ステンタンク内部 <参考写真>
SUS製の水槽内部
気相部一部分の様子 水面と天井部
腐食には未だ至っていない状態と見受けられる。

注)この水槽は飲料用では有りません。

”工事アルバム−某遊泳場改修工事”のページに、常時塩素にさらされているろ過器内部(鋼板製)の写真が有ります。
そして、ケレン後塗装仕上げした完了写真も有ります。

  鉄とステンレスを接触させたらどちらが錆びるか??イオン化傾向って知っていますか?
異種金属接触腐食(ガルバニック腐食)について

よくある私達の会話で、
「ステンと銅は貴でイオン化傾向が同じ位だから、そんなに異種金属接触を考えなくても大丈夫。」
というものが有ります。もっとも、ステンレス鋼管を使用したらバルブはステンレス製を使いましょうと仕様書によく書いていますが・・・。
又、「鉄とステンレスでは、鉄が卑なので、鉄が腐食するから絶縁を考えなければならない。」
という言葉も何度も何度も聞いてきました。

ステンレスと鉄を接触させると、電位差が有るので電池を形成して、マイナス(卑)からプラス(貴)へ腐食電流が流れ、腐食します。卑と貴が接触するとイオン化傾向の大きい方の金属が錆るという原則が有ります。ガルバニック腐食です。 鉄にステンレスが勝った!!と喜んでいる場合ではありません。ステンレス自体ももらい錆で腐食が起こるのは時間の問題でしょう・・・。金属を扱う場合には、基本である電位差やイオン化傾向というものを有る程度頭に入れておかねばなりません。
ステンレスだから錆びないという思いこみは大変恐ろしい考えでもあります。肝心な箇所にステンレスを使っておきさえすれば安心だと考えている方へ・・・。
通常よりも腐食しやすい環境下で一部にステンレス、他が鉄を使うとするならば、ステンレスを使う意味が全く無くなるどころか、逆にステンレスも鉄も錆びやすく、全て鉄を使用する場合よりも条件がかえって悪く、設備自体の寿命を縮めることも有りうるということに気づいてください!

<イオン化傾向>
Au             ↑カソード
イオン化傾向が小さい(貴)  ※還元側

        ウサギ先生   

イオン化傾向が大きい(卑)  ※酸化(腐食)側
             ↓アノード
Pt 白金
Ag
Hg 水銀
Cu
H 水素(気体)
Pb
Sn 錫(すず)
Ni ニッケル
Fe
Cr クロム
Zn 亜鉛
Al アルミニウム
Mg マグネシウム
Na ナトリウム
Ca カルシウム
K カリウム
Li リチウム

※実際の環境でのイオン化傾向(錆易さ)とイオン化傾向の表とが必ずしも一致しない場合があります。
(不動態を作る金属や金属の組合せ等でも変わってくる。)
また、貴と卑の面積比でも腐食の度合いが変わってきて、
例えば、鉄板をステンレスの釘等で止める場合とステンレス板を鉄釘等で止める場合とでは卑な金属の面積が小さい場合が集中して錆びます。

 マクロセル腐食、ミクロセル腐食、他

配管などが部分的に電池を形成して腐食する部分としない部分との差がはっきりとしているような腐食
(自分は、アノードが卑で腐食側と単純に覚えるようにしています。)

●コンクリートと土壌中にまたがって管がある場合 → 土壌中の管が腐食

●通気性が悪く酸素濃度の低い土壌(粘土など)と通気性のよい酸素濃度の高い土壌(砂など)にまたがって管がある場合 → 通気性の悪い(酸素濃度の低い)土壌中の管が腐食
通気性がよく酸素濃度の高いところがカソード、通気性が悪く酸素濃度の低い方がアノード
(この他通気性に関して・・・、架空配管など大気中から、地中に入る箇所や、大気中から、コンクリートに入る箇所、大気中から水中に入る箇所等にも腐食が集中することがある。)
地面との接触部
これは、大気中から地中です。

●ボイラー、熱交換器などにおける温度が高い箇所と低い箇所→温度が高い部分が腐食
冷部がカソード、暖部がアノード

●異種金属接触腐食(前段参照)
銅合金バルブと鋼管が接続されている場合 → 鋼管がアノード
鋳鉄管と鋼管が接続されている場合 → 鋼管がアノード
鋳鉄管と銅合金が接続されている場合→鋳鉄がアノード
鋼管とステンレス管が接続されている場合→鋼管がアノード

●ミクロセル腐食
酸性土壌(phが低い)、一般土壌、バクテリアなどにより起こる腐食。
電池が配管全体にどこが陰でどこが陽ともなく形成され、腐食が少しずつ進行する。
(現在では外面被覆の無い鋼管を素地そのまま裸で埋設するケースは、ほとんど無いと思われます。
樹脂管か被覆管、最低でも防食テープは巻きます。)

埋設管全体腐食の写真

<左>通常の場合は直管部に比べて、継手部からの漏水のケースは多くなります。
<右>直管部のようですが、こちらの現場はいたるところより漏水が起きていました。


●外面被覆に傷がついている箇所や防食テープ巻きが均一でないとその部分に腐食が集中する。
例えば、配管完了後等に表面を傷つけられたりしていると(周りの環境にも左右されるが)その時は良くても数年後に水漏れが発生してしまうなど・・・
●鋼管類のねじ切り部に錆止めを塗っていないか、塗っていても充分でないとさびる。
●保温材の巻かれた配管が結露水や浸入水、漏水などにより、湿潤状態にあると、塩化物イオンの濃縮などが原因で、配管が腐食(応力腐食割れ(SCC))することがある。

 最後にひとこと(主に建築設備の配管について)

腐食だけではなく、適切な施工をするための検討事項(そのうち書いていきたいと思っています。)と、コスト面での制約事項が多すぎて、通常 建築工事の下請けに組み込まれてしまう建築設備工事はなかなか厳しいものがあります。
腐食において、高級材料を使えばかなりリスクは回避できるもののそれでもなお腐食が起こることが有ります。

配管工事において適切な管径の選択はもちろんのこと腐食に対する知識をもって、専門家さえも予測できないような腐食はどうしようもないにしろ、ガルバニック腐食など、明らかに予想できる腐食にはあらかじめ絶縁対策や防食対策等を立てる。
流体の温度や性質などをよくみきわめ、使用する管材の選定、配管だけではなく継手やバルブ類も選定する。
支持金物の材質についても考慮の余地が有ります。例えば、ステンレス同士であってもです。
又、保温材の選定や施工についても考慮します。
この他金属管埋設部の近くに変電所や線路などがある場合の電食についても検討します。
そして、もしも腐食が起こったら、早め早めの対策をすること。そして、やはり日頃のメンテナンスも重要です。

現代においては、何もかもが簡略化され、配管工事の分野においても昔は熟練の技が必要だったものが管材にしろ継手類にしろ、簡単に施工できてなおかつ寿命も長いものがたくさん開発されてきています。
もう一度基本に立ち返り、一工程毎の適切な材料の取扱や施工 例えば、地味ですが錆止め塗装を施す手間を怠らないことや、防食テープ巻き等の確実な施工等の積み重ねが実は配管の寿命に影響しているということを再度認識して施工に臨むことが大事ではないのでしょうか。
また、職人さんの…技能職のレベルアップが必要だと思います。 設計で建物に適した最良の配管材料を選択していたとしても、施工技術が未熟ではほとんど意味をなさなくなりますので…。悲しいですが現実問題として、誰にでも施工のできる配管材料を選択することももしかしたら寿命を延ばすポイントになるかもしれません。

 埋設配管施工時

先日、給水管を埋設配管であることや、腐食を考えたらしくVBに防食テープをぐるぐる巻いて施工している業者の話をききました。知らないとはこういうことです。
消火設備にも外面ライニングが有るので選択に困ることも有りませんが、ステンレス配管で外面ライニング仕様が標準では未だ有りません。
ステンレス管の埋設等の腐食しやすい部分の施工には、ライニングされているものを利用しない限りなかなか難しいでしょう…。(ライニングって、そういう役割ですものね。)

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